燕窩

 中華料理の高級食材・今や化粧品の花形の原料として垂涎の的となっている、ツバメの巣(燕窩)は東南アジアに生息する、アナツバメという鳥の巣です。

 鳥の巣というと木の葉や木の枝・土などで作られている物と思っていましたが、アナツバメの巣は産卵期にのみ雄のアナツバメが唾液を固めて作るのだそうです。

 唾液には不思議な力があります。子供の頃一寸とした擦り傷などはツバをとけておけば直ってしまったことを思い出します。唾液には殺菌力や免疫力を高める要素が含まれていると言われています。

 通常アナツバメは何万羽も群生して飛び回り空中で虫を捕らえて生活をしています。真っ暗な洞窟の中でも、音波で方向を関知してぶつかり合うことなく自由に飛び回り、空中で虫を捕食することができます。まるで、コウモリのようです。

 アナツバメは産卵期以外は常時飛び回り、飛びながら睡眠をとることも出来るそうです。足の形が木の枝に止まったり、地上を歩くのには不都合に出来ているからだろうとも言われています。

 産卵時期になると大きな洞窟の高い崖の上に巣を作ります。それは雄の仕事です。唾液腺から分泌される成分を固めて巣を作るのです。これが有名なツマメの巣(燕窩)です。このツバメの巣で産卵・孵化・子育てをするのです。雛たちが巣立ちすると、巣は空っぽになります。

 それを人間が採集して付着した羽毛などを取り除いたのが、ツバメの巣(燕窩)という高価な食材となるのです。採集は高い崖にハシゴをかけまさに命がけの仕事です。猿を仕込んで長いロープを付けて、猿にツバメの巣を回収させたこともあったと伝えられています。

 兎に角ツマメの巣(燕窩)は非常に稀少な物でしたから高価で、王侯/貴族が独占していました。また、採集に関する監視は厳しく、密漁は厳しく罰せられました。

 現在でも、密猟者を取り締まるため、銃で武装した警備員が監視する中で、採集が行われています。

 近年では、アナツバメが巣を作りやすい環境を作ってツバメの巣を作らせるという、養殖の様なことも進められています。