太郎は公園で雉を拾った

 恵比須太郎というあまりさえないサラリーマンが居ます。

 何の変哲もない真面目な男で、東京の中心部から少し離れた、練馬区の片隅に住んでいます。

 彼の住居は2DKの賃貸マンションで寝室と別に小さな書斎を造り仕事から帰った後は、この部屋にこもっています。

 ある朝、太郎は、毎日の日課の散歩の途中近くの公園で、草むらに蹲っている1羽の雉を見つけました。都会ではなかなか見かけない珍しい鳥だと思って近づいてみましたが、逃げもしないでジットしています。もっと近づくと雉は、びっこを引きながら近づいてきくるので、太郎も雉を見つめました。

 太郎が驚いて、その雉を見ると雉が何かを伝えたいのではないかと直感しました。雉が近寄ると、太郎の心の中に雉の声が聞こえてきました。「私は、蛇と戦って足と羽を怪我して飛べなくなりました。太郎さん私を助けて下さい。」と言う声がするのです。

 太郎は、雉に近寄り抱え上げると雉は安心したように温和しくしています。

 見ると確かに足から血が出ており羽も曲がっています。太郎はともかくマンションまで雉を抱えて帰り足と羽の傷口を消毒してやりました。

 すると、雉は「有難う御座います。2~3日ここに置いて頂けませんか?」と言って、倒れてしまいました。太郎は驚いて雉を抱き上げ動物病院へ連れて行きました