犬を連れたアイスマン

皆様は、アイスマンをご存じだろう。
1991年オーストリア・スイス・イタリア国境のアルプスで5000年以上前に亡くなった一人の男性が見つかった。遺体はミーラの状態でほとんど原型を止め、アイスマンと命名された。
これがスイスに帰属するかイタリアに帰属するかは国際問題となったそうである。
この遺体はアルプスの氷のなかで死後5000年安息の夢の中にあったが突然国際紛争の渦中に巻き込まれることになった。
彼は弓と青銅製の鏃を持っているので、狩人だろうと言われているが、戦闘で傷ついて逃亡の途中に死去したと言う説もある。
あまりにも貴重な考古学的資料であるため、解剖して詳細の調査が出来ないと言うのが現状のようであるらしい。
5000年前と言えば、エジプトの古王朝・中国の殷・周の王朝以前のことである。
実は、アイスマンの傍らに寄り添うようにして横たわっていた、一匹の犬については誰も関心を示さない。
この犬は、アイスマンに寄り添うように横たわり。アイスマンとともにミーラになっていたというのである。
アイスマンの遺体に噛みついた痕はない、ただ寄り添ってご主人様と一緒に死んだことだけが伺える。
犬は、大きいのも小さいのも猛獣である。最近、熊や猪が人間社会を脅かすと言われているが、それより遙かに獰猛で好戦的なのが犬である。
犬は、毎日食事をくれる飼い主(ご主人様)に対しては、絶対的信頼を託し従順に従う。しかし、未知の外来者に対しては咆吼し恫喝し、それでも聞かないと牙をむいて噛みつくそれが犬の本性である。
犬は、古来、人間の狩猟の助けや、牧羊犬そして、家の安全を守る番犬として重宝されてきた。
最近では、かわいがるための愛玩犬がもてもてはやされている。
ご主人とおそろいのTシャツを着ているのは当たり前で。4本の足に靴を履いている者も居る。雨の日には、しゃれたレインコートを着ている犬を見かける。