飼い主

犬は、飼い主以外になついてはいけないのだろうか。時としてあまり愛想良く飼い主以外の人に尾を振る犬に飼い主が、噛みついてはいけないと心配するのか、嫉妬心を起こすのかわからないが、厳しく犬を叱りつけ、引き綱を強くひっぱり引きずって行くのを見かける。

 飼い主にとって犬は独占・占有物なのだろう。犬にとっては良い迷惑かも知れないのだが、そこは犬に聞いてみなければわからない。

 そんな訳で、よその犬には絶対に手を出さないことにしている。

 老婦人が連れている、その白い犬は、由緒ある血統書付きの犬だそうで、毎週、調教のために専門家を呼んでいて、これまでそのための費用は数百万円かけたそうである。今も毎週調教師が来訪して調教を受けているそうである。

 この白犬にたいし、最近、携帯電話の宣伝で使われている、「お父さん犬」の候補で交渉を受けたことがあると、老婦人は言っていた。

 尤も、お父さん犬は調教・訓練によるストレスが非常に多く、すぐ死んでしまうそうである。

 今出ている、お父さん犬は、何代目だとか言っていた。スターになると犬もなかなか大変なのだと思う。

 散歩中に出会う犬は、どの犬も温和しい。飼い主がよほど、丹精を込めて育てているのだろう。雨の日などはレインコートを着て靴を履いている犬も居る。

 誠に、犬と人間は、別れられない因縁のパートナーかも知れない。