超駄犬のお話

 犬を鎖に繋がず散歩できた暢気な時代がありました。

 昔我が家に駄犬が一頭いたのです。駄犬になってしまったのは飼い主が適切な教育をしなかったからです。

 飼い始めたころは子供達が世話をしていましたが、子供達は大きくなり家を離れると、誰も面倒を見る者が居なくなってしまいました。

 仕方がないので、犬嫌いだったお母さんが、毎晩食事を与えました。

 食事が終わって暫くすると、またお母さんが出てきて「散歩に行くよ」と言って、首輪に着いている鎖を外すのです。そして、黙ってスタスタと外へ出て行きます。犬はその後を追ってついて行きお母さんを追い越して田んぼ道を走り回ります。

 暫くすると,お母さんは「帰るよ」と声をかけてスタスタと帰って行くのです。

 犬は大急ぎで戻ってくると、お母さんの前に行ったり後ろへ行ったりしながら、家まで帰ってきます。

 お母さんが、首輪にガチャンと鎖をつけると、安心したように土上に寝転びます。

 家の中へ入ったお母さんは、綺麗に洗った食器に満たして「これをお飲み」と言とまた家の中へ入ってしまいます。

 尾を振りながらペチャペチャと水をのんで、駄犬の一日が終わるのです。

 明日もまたこんな一日だと思って満足しながら土の上に寝ています。

 犬は人間の掛け替えのない同伴者です!!