課長は鼻高々で大威張り

 亀太郎が会社へ帰ると、係長がやって来て、「あの取引は、俺も課長も営業部長も上手くできなかった話だ。俺の部下のお前が上手く話を付けたので、今社内で大変な評判になっているぞ。出荷は順調に進んでいるから心配するな。さっき俺は営業部長と専務の所へ呼ばれ、良い部下を育てたな、と言ってお褒めにあずかったのだ。

 今日の夜は俺に付き合え、もっと仕事の事を教えてやるぞ。」係長は一人で喋って上機嫌です。

 係長の話はとまりません「専務から特別報奨金を貰ったから、今晩は営業一課第一班全員で、祝勝会をやろう。おい、山田有楽町のふぐ料理屋満月に電話して、6人分の予約をしとけ。ふぐ刺しと、ふぐ鍋だぞ、金は十分貰ってある。心配するな。今日は、亀太郎が主役だから、この前みたいに逃げることは許さんぞ。」としっかり釘を刺して、係長は専務から貰った特別報奨金の封筒を内ポケットへ入れました。

 その後も、亀太郎が扱っていたいくつかの商談が次々とまとまり、それを報告するたびに、係長は、他の班員に向かって、「君たちも、亀太郎のような実績をコンスタントにあげてくれ。そうすれば、俺は営業課長を飛び越えて営業部長に抜擢され、その内、何にも専務に代わって、有能専務になるだろう。そうしたら、君たちを課長・部長にするから、それまで、班員一体となって頑張ろう。いいかね。それから君たち何か悩みがあれば、ガタガタ病院の海品先生のところへ行け、落ち込んでいた浦島は、昨日、海品先生のカウンセリングを受けただけで、これだけの実績が出るようになったのだ。いいか!!」

 すると、亀太郎以外の班員一同、「よしゃ!!やりましょう。」と言って大変な盛り上がりです。

 そうなると、家に残してある亀が心配な亀太郎も「今日は、失礼します。」とも言えず。係長に率いられてみんな一緒に有楽町のふぐ料理屋に行きました。

 ふぐは、毒があるので素人が料理をすることは禁じられていますが、高級食材として日本では好まれています。

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