もう一度海底帝国へ

 亀太郎は、箱を取り上げて、蓋を開けました。

 箱の中には小さい紙が一枚入っていました。その紙には、「海底帝国へ帰りたいときには上陸した海辺へ行って、ゴンザ亀を呼びなさい。」と書いてありました。

 亀太郎は、夜の江ノ島の浜辺へ大急ぎで行って「ゴンザ出てきてくれ。」と大声で叫びました。

 暫くすると、大きな波が起ったような音がして、ゴンザ亀が現れました。

 亀太郎がゴンザ亀に「もう一度海天宮殿に連れて行ってくれ。もう陸へは帰らないでもいいんだから。」と言うと、ゴンザ亀はゆっくり浜辺へ上がってきて「行きましょう海帝陛下はじめご家族の皆様も首を長くして、お待ちです。」と言って亀太郎の前へやって来ました。

 亀太郎が、亀に乗ると亀はゆっくりと海の中へ入って行きました。

 魚たちや、海藻の林、珊瑚の群れや海底の岩など、懐かしい海の中の景色に見とれている内に、亀は、海天宮殿の前に到着し、金色燦然とした豪壮な宮門を通って、宮殿へ入っていきました。

 ゴンザ亀が、宮殿の奥の海帝陛下の玉座近くへ行くと、「ここからは上へ行けませんので、失礼します。」と言って姿を消しました。

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