猿との出会い

 太郎が檻から出された犬を連れて帰ろうとすると、犬が雉に目配せをして「この先の檻にもう一人いるんだよ」と言っています。

 その檻の前へ行ってみると犬ではなくて一匹の猿が入っています。そしてギャーギャーといって暴れています。係りの人に聞いてみると、山から出てきてあちこちで暴れ回ったので捕まえて収容しているが、何処へ送ろうか検討されているところだと言うことでした。

 動物園も満杯でなかなか行き場がないそうです。

 猿は、太郎達を見ると急に静かになって、「ヤー良く来てくれましたね。」と言うのです。

 不思議なことに太郎には抱えている雉と、今檻から出して貰った犬と、檻に入れられている猿の声が以心伝心で聞こえてくるのです。

 太郎が「猿に、お前もここを出たいのか」ときくと、「是非お供させてください」というのです。この会話は動物保護センターの人には全くわかりません。

 そこで太郎は「この猿も私が貰っていって良いですか」と聞くと、職員は驚いて「とても凶暴な猿ですよ、大丈夫ですか、犬も引き取られたのですから、大変危険ですよ。昔から犬猿の仲と言うじゃあありませんか」と念を押すのです。

 すると犬と雉が「太郎さん猿は手足が器用で知恵があるから必ず役に立ちますよ。連れて行ってください」というのです。猿も「お願いします。お供させて下さい」言います。

 太郎は、この猿は温和しそうだから是非、私の所に置きたいと頼み込みました。