ひそひそ話

   大二郎が三津子に聞きました。「お前はどうして人間の言葉が解るの」すると三津子が答えました「大二郎さんだって解るじゃありませんか。実はね、私は、昔々、桃太郎さんについて鬼ヶ島を征伐に行った、猿の子孫なんですよ。」すると大二郎は目を輝かせて言いました「俺の先祖も桃太郎さんに従って鬼ヶ島を征伐に行った犬の子孫なんだよ。道理で気が合うはずだ。世間では仲の悪いのを犬猿の仲等と言うが俺たちに言わせれば一番親しいのが、犬猿の仲と言うことになるのじゃないか。」と言って二人は大笑いをしました。

 するとそこへ、外を飛んでいた貴一郎が窓から入ってきて「誰か一人、忘れてないかい、私だって桃太郎さんのお供をした雉の後裔だよ。」と言ってぐっと胸をそらしました。

 そこへ三四郎が戻ってきて、「僕は由緒あるブレーメン楽隊の猫の子孫さ、ブレーメン音楽隊は鶏と猫と犬とロバ4人組で君たちと同じように悪者をやっつけたんだよ。知ってるかい。」と言いました。

 そし4人はしっかりと肩を組んで悪者をやっつけて良いことをしようよと誓い合いました。

 夕方になって、4人がそんな話をしているところへ太郎が帰ってきました。

 「ミンナ随分盛り上がっているな。何の話だい。」と聞くと、貴一郎が「桃太郎とブレーメンの音楽隊の話をしていたのです。」と言うと三四郎が「どちらも鬼や泥棒という悪者を懲らしめたという話ですからね。」すると大二郎が「動物は人間と違って邪欲がないからことの善し悪しを見分けることが出来るのですよ。」と言うと。三津子が「その通り、私たちは人を見ればいい人か悪い人かがすぐに解るのですよ。」と付け加えたのです。

 太郎は喜んで言いました。「みんなで協力して困っている人のために手助けをしよう。」みんな大賛成と言いました。