桃木太郎
子供のいないお爺さんとお婆さんは両親のいない太郎を、養子に迎えたいとと言い出しました。
太郎が四人の兄弟に相談すると、「それは願ってもないことですよ」と大賛成するので、太郎はお爺さんとお婆さんの養子となって、桃木太郎となりました。
その後、ある冬の夕暮れ、いつもより早く帰ってきた太郎は大二郎を連れて近くの公園を散歩していました。すると雉の貴一郎がバタバタともがくように飛びながら落ちてきました。
全身、血だらけです。太郎が貴一郎を抱え上げると、「野原を飛んでいるときに、猟銃でやられた。」と言ってがっくりと首を垂れました。そこへ、猫の三四郎が飛んできて、「兄貴は大丈夫ですか、もう一発撃とうとしたハンターの顔をかきむしってやったのですが、そいつはひっくり返りながら引き金を引いたようで私の尻尾に何かがあたりました。」と言っていると、後ろから二頭の猟犬が走ってき来ました。
太郎が抱えている貴一郎を見ると激しく吠えかかりました。それを見ていた、大二郎は太郎が持っている太い引き綱をふるい落とし間髪を入れずものすごい剣幕で猛然と、二頭の犬に飛びかかりました。先祖が鬼退治をしたり熊もかみ殺したという犬の後裔ですからその強いの、なんの、そのものすごさに驚いた、二頭の猟犬は、尻尾を巻いて一目散に逃げ去っていきました。