四天王の守護

  そのうち子供達は成長し、独り立ちして行き、太郎夫婦だけが残りました。  太郎夫婦も丁度お爺さん桃木伸介さんお婆さんの延さんと初めてであったときと同じくらいの年齢になり、家の四方の4本の楠は森のように大きくなって家を覆いました。

 太郎は、三人の男の子達が、以前これは僕の木だ、これは僕のだと言って遊んでいたことを思い出しながら楠を見上げていました。

 すると奥さんの三津子が出てきて北の木を触りながらこれは私よと言いました。

 二人が空を眺めて笑っているときに、突然大きな地震が起りました。家はゆらゆらと揺れ棚にのせていた物が落ち、タンスが倒れました。しかし幸いなことに、お爺さんが改築するときに、耐震補強を綿密にして貰っていたので、家はびくともしませんでした。それに庭にいた太郎夫婦は全く被害を受けませんでした。

 太郎夫妻は雉の貴一郎・大きな犬の大二郎・猿の三津子・三毛猫の三四郎と言うかって一緒に暮らした兄弟達が太郎夫婦を守護する四天王となって、守ってくれているのだと思いました。それで、もう一度東西南北に植えられた楠を見上げました。それはみんな大木となって大きな地震にひと揺らぎもしないで堂々と立っているのです。