地震の後は火事が怖い

  地震がやんだので太郎は庭から、外へ出て見ると多くの家が無残に破壊されていました。そして突然、北の方から火の手が上がりました。その火は強風にあおられドンドン近づいてきます。  太郎と奥さんはどうしようかと迷っている内に回りは火の海となり、逃げ出すことも出来ません。火は、家の周囲の4本の楠の葉を焦がすところまで来て、急に弱まりました。

 激しく燃える火が、4本の楠に遮られて家に燃え移らないのです。

 太郎は、四人がこの家を守ってくれているのだと思いました。激し火事でしたが太郎の家は奇跡的に無事でした。

 その内、消防隊が駆けつけ、自衛隊も出動して、消火活動と救助活動が始まりました。  太郎から、楠があったので類焼を免れたと言う話を聞いた消防士は、「楠はすごい力を持っているのですよ。昔関東大震災の時、三菱財閥の創始者、岩崎弥太郎が造った木が生い茂っている清澄庭園に逃げ込んだ人はみんな助かりました。しかし木がない被服敞へ非難し多くの人は火に焼かれて亡くなりましたそその惨状は大変だったそうです。それから阪神淡路大地震の時にも、神戸の町が火の海になったときに、神社の2本の楠のご神木のところで火がとまってそれ以上は広がらなかったと言うことがあるのですよ。火を止める木の力は素晴らしいですね。この家の南側の方は火事に遭いませんでしたよ。」と言って、家の周囲に繁る4本の楠を見上げていました。