会社へ行ってみると1

 営業1課のドアを開けるとみんなが一斉に亀太郎に目を向け、同僚の係長達の一人が「第一班エースの登場だ,兎野係長ぼやぼやしてると亀に追い越されるぞ、寝てる暇はないぞ」と言いうとみんながどっと笑いました。

 亀太郎は、一寸気まずい思いで係長を見ましたが、係長は「俺は亀に乗って竜宮城へ行って乙姫さん会って遊び回るのよ、亀がいるから俺は大丈夫さ。お前達も犬猿雉でも捜してお宝探しに鬼ヶ島へ行ってこい。二班の犬井に三班猿田、四班の木地山と名前だけは揃っているじゃあないか。俺は、竜宮城お前らは、鬼ヶ島だ、どうだ、ざまあ見ろ」と、大見得を切って、まくし立て大声で笑いました。

 兎田係長を冷やかした係長達は、顔を見合わせて、「兎が、虎になったのかな」と言って方をすくめました。

 それからその日の第一班の営業の打ち合わせが始まりました。兎野係長は、営業目標をみんなに指示した後で、「浦島今日も俺と一緒に南海産業へ行くから同行するんだぞ。」と言いました。

 兎野係長は「俺は2年間あそこへ通っているんだが、頑固な社長が、ウンと言わないので3億円の仕事がまとまらない。これが決まれば俺も出世すること間違いなしだ。今日は昨日のような仕事とちがうから、気を引き締めて頑張ってくれよ。」と亀太郎に発破をかけました。

 亀太郎は、係長について出かけました。

 南海産業へ行くと、長年兎田係長が頑張って営業していたからでしょうか、二人はすぐに社長室に通されました。

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