警察へ

   その頃、五人は例の鞄を持って警察署の前に立っていました。「太郎が、僕がこの鞄を持って行こう。」と言うと、「太郎さんが持って行くと鬼島興産から盗まれた物だと言って、難癖を付けるといけないから、私が持ち込んで、ばらまいてきますよ。鬼島大蔵の指紋が付いた拳銃まで入っているから、必ず警察が動きますよ」と三津子は言って鞄を持つと樋を伝ってするすると登り、2階の窓から警察署の中に入っていきました。

 三津子は早速、書類をあちこちにばらまき拳銃の入った鞄の中に何枚か書類を残しておきました。  そのうち、刑事が一人部屋に入ってきて部屋の中にばらまかれている、鬼岩興産関係の書類を見て驚きました。  鞄の中には拳銃まで入っているではありませんか。拳銃はすぐに鑑識課へ回され、不正な金銭貸借の書類はそれぞれの担当部署に送られました。