児玉神社の近くで生まれた浦島亀太郎

  江ノ島の小島神社の近くで生まれた、浦島亀太郎という青年がいます。

 子供のころ、友人からは、「お前は、浦島太郎の子孫かい。」などとからかわれていました。

 亀太郎はその度に、「浦島と言う名前は第三代安寧天皇25代の後胤浦島の連亀人から来ている、先祖伝来の由緒ある苗字で、亀太郎というのは、鶴二郎という親父が長男の俺に付けた名前だ。鶴は千年、亀は万年と言う事を考えて付けた由緒ある名前だ。」と言いました。

 亀太郎も大きくなって、近くの商社に勤めるようになりました。商社と言っても、赤井物産、五目商事や、日商石井等という有名商社ではなく、東京の片隅で商売をしている「帝都物産」と言う会社でした。

 会社は、数名しかいない小さな事務所ですが、名前だけはとんでもたい名前です。

 何でも社長のお爺さんが、昔、職業軍人で、アメリカ軍の東京空襲に対して、帝都防空隊の一員として奮戦した人なんそうです。それで「帝都」という名前にこだわって居るのです。

 そんな会社で働いている亀太郎ですが一向に売上の実績が上がらず、もう少し売上をのばせと、毎日、係長の鮫山才蔵さんに攻められています。

 ある冬の日、亀太郎は今日も上司に散々絞られて、とぼとぼと帰り道を歩いていました。その時、一匹の小さな亀が道ばたで、蹲っているのを見つけました。冬には冬眠する亀だから、寒いので動けなくなっているのだろうと、かわいそうに思ってポケットに入れて持って帰りました。

↑ ページトップへ