海の底の大宮殿

 亀太郎が亀の背中に乗っていると、亀はドンドン海の底へ潜っていきます。

 亀太郎は今までみたことのない魚を多くみました。

 そしてとうとう海の底の見たこともないような大宮殿に着きました。

 亀が言いました。「此処は、海底帝国の海天大宮殿と言って、世界中の海を支配しておられる。海帝陛下と、皇后様がおられるのです。海帝陛下が、深い慈愛を持っておられるので、おられるので世界の海の生き物は生きていけるのです。」

 亀太郎は、宮殿を見上げてただ驚くばかりでした。呆然としながら亀の背に乗ったまま、大宮殿には入って行きました。

 亀太郎が入っていくと、煌びやかに着飾った大勢の人が現れて、亀太郎に最敬礼をしてから、大きな部屋に案内しました。そこで、亀太郎は、これまで見たこともないような美しい衣装に着替えをさせられました。「これから海帝陛下に謁見するのですから、呉々も粗忽のないようにお願いします。」鯨のように大きな、偉そうな人にそう言われました。

 亀太郎は、生きた心地もありません。これが夢なら早くさめてくれと念じました。

 何がなんだかさっぱりわかりません。此処へ連れてきた亀は何処に行ったのだろうと辺りを見回しましたが、何処にもおりません。

 仕方がないので、亀太郎は、鯨のような大男の後について、海帝陛下の謁見室へ向かいました。

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