夢に出てきた亀の話

 亀太郎は、亀を海に帰してから毎日、ぼんやりとしていました。

 仕事に行って、上司から怒られても何の反応もなく「お前はどうしたんだ。この前は大きな契約を取ってきたのに、何があったんだ。」と係長は怒鳴ります。

 亀太郎は、「亀が海に帰ったんですよ。」と答えると、「訳のわからないことをいうな。馬鹿者、明日、ガタガタ病院の心療内科へ行って海品先生にお前の心の悩みを調べてこい。」と言われるのです。

 亀太郎は、翌日休暇を貰ってガタガタ病院の海品先生に会いに行きました。

 大きな心の悩みを解決してくれるという、ガタガタ病院診療内科の海品先生は、亀太郎に優しい目を向けて「どうしたんですか」と尋ねました。

 亀太郎は、「亀を海に帰してから、それが心配で、調子が悪くなったのです。そんなことを誰も信じないと思いますが。」と正直にいうと先生は、「それでは亀に会いに海へ行けばいいじゃあありませんか。海にいるのでしょう。」と言いました。

 それを聞いて、すっかり元気になった亀太郎は、次の日曜日に、亀を放した江ノ島の海岸へやって来ました。

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