浦島亀太郎は何処へ行った

 亀太郎は、亀が水の中で元気そうにしているので安心して床に就きました。

 その夜、亀太郎の夢の中に、昨日拾った小さい亀が出てきました。亀は言いました.「私は、実は海亀なのです。生まれたとき砂浜から海に向かおうとしていたときに大きな鳥にくわえられ、飲み込まれそうになったのです。その時、鷹がその大きな鳥を攻撃して、私は地面に落ちてじっとしていたのです。それをあなたが拾ってくれたので助かりました。私は海亀ですから、水の中に少し塩を入れて下さい。それから食事は、淡水の亀の物ではなく、海藻と魚のすり身を下さい。」

 朝起きて、亀太郎は、亀に言われたとおりに餌を作って与えると、亀はドンドン食べて、それからは毎日、大きくなっていきました。

 小さな水槽では間に合わず、亀太郎は大きな水槽を買いました。

 毎日食事を与えていると、ある日大きくなった亀は、「長らくお世話になりました、これだけ大きくなれば海に帰れます。明日、江ノ島の海から海に帰して下し。このご恩は決して忘れません。」と言うのです。

 亀太郎は、翌朝、早く大きくなった亀を抱えて江ノ島の海辺へ行きました。

 亀を海に入れると、気持ちよさそうに手足を動かしてから、海に潜っていきました。

 亀太郎は「ゴンザ元気でな」と大きい声で叫びました。実は、この亀に「ゴンザ」という名を付けて可愛がっていたのです。

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