一度地上を見に行きたい
亀太郎は、海天宮殿で60年過ごし多くの子も孫も出来ました。海帝陛下・皇后も逝かれ、愛妻も亡くなりました。
ある日、亀太郎は海帝陛下にお願いしました。「一度、地上がどれほど変っているのか見に行かせていただけないでしょうか。」
すると、海帝陛下は亀を呼んで、亀太郎を元来たところへ送るようにと言いつけました。
「60年も前の事ですから何もないでしょうが、一度だけ見ておきたいのです。」と言葉をくわえました。
すると、海帝陛下は「それから、もし此処へ帰ってきたければ、この箱を開ければいい」と言って小さくて綺麗な箱をくれました。
海帝陛下に呼ばれて現れた、ゴンザ亀もすっかり歳をとったようで、白い髭が顔一面に生えていました。