亀太郎の華燭の宴

 海天宮殿の華燭の苑は盛大です。  各大洋を司っている王達が集まり来客の数は、数えることも出来ません。

 亀太郎は、緊張して、時々美しい新妻を見ながら、神妙な顔をして式典に臨んでいました。これからが大変だと思っていました。

 挨拶に立った、長男の大西洋宮殿大王が言いました。「今日は誠に目出日だ、しかし地上から来た者が海を治めることは出来ない。そのことをみんなしっかり考えて欲しい.」と言って、席に着きました。

 亀太郎は、それは当然だと思いましたが、あからさまに排斥されるのは、陛下と妻となった皇女に無礼な言葉ではないかと思いました。

 その後、何人かの祝辞があり式典は終わりました。

 亀太郎の新婚生活は、順風満帆で10年の間に6人の子が生まれました。海帝陛下も歳をとられ、後継者の大西帝を呼び寄せ後継問題を解決しています。彼は、亀太郎の婚礼の時きに、「亀太郎に地上の人間は海の中を治めることは出来ない」と言った人です。

 それでも、新帝の信任をえて、亀太郎は政府の高官として活躍していました。

 長い間、海の底にいる亀太郎には、地上の年月がどれくらい経ったかと言うことは、わかりません。

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